story 15

2021.04.16

 

美容学校時代は時間があればとにかくバイトに明け暮れた。

 生活費と授業料を貯めなければ卒業出来なかったから、、

  その中でも「よくあそこまで働けたなぁ」と今でも思い出すのが夏休み。

 

その時残りの卒業までを考えると、夏休みだけで約30万くらい貯めないといけなかった、、

 そこで見つけたのが「築地市場」。

 時半から10時までだけど時給は抜群!

 始発でも間に合わないので、実家にあったスクーターを持って来てそれで森下のアパートから通った。

 

市場は墨系と気の荒い人が多くてタラタラやってるとすごい剣幕で怒鳴られたりする(笑)。

とにかく朝の早さときつかった思い出ばかりだけど、週に一度のご褒美で「ラーメン井上」の当時一杯600円のラーメンを食べられることは唯一の楽しみだった。

 

数年前、20年ぶりくらいに買い物がて築地に息子と行った時に「井上」に寄った。

まだおじさんも元気で、当時名物だった僕と同じ歳くらいの綺麗な娘さんが、すでに子供がいながもまだお店を手伝っていて当時の話を息子にした。

 その後すぐに井上が火事でなくなったというニュースを聞いた時は寂しい気持ちになったけど。

 そして築地自体も消えて行くとは、、時間の経過を感じさせられるものです。

 

話しは戻り築地を10時に終えたら次は新宿のカフェでバイト。

 さすがにそこから終電までは働かせられないと時までの早番。

 さらにそこから歌舞伎町にある居酒屋で終電まで。

 家に着くのが時で朝4時には家を出る繰り返し、、

 

風呂なしだったから毎日水道で身体の汗を拭いておしまい、、

 お風呂に行けたのは週末の築地が休みのときだけ、、

なんとかこうして僅か1か月半で30万を貯めることができた。

 

全然ファッショナブルでもクリエイティブでもおしゃれでもなくてすみません。。。

そして決して貧乏武勇伝で「俺たちの若い頃は!」的自慢話しに感じて欲しくなくて、、

 誰でもそういう時代やどうしても頑張らなきゃいけない時を越えて今がある。

 

僕らも父親やお爺さんお婆さんから戦後の話しを聞いてもピンと来なかったし、、

 資産家の子供かなにかで、何も苦労がなくても幸せに生きていける境遇の人ならいいんだろうけど、、

 そんな人だってこれからの時代は何が起こるかもわからない、、

 

自分の息子たちにもたまにこういう話しはするけど今では完全に煙たがられているだけ、、、(笑)

 まぁそれでもこうやってなんとか美容専門学校を卒業できて美容師にならなかったら、GARDENというヘアサロンはこの世の中には存在しなかった訳で、、

 やっぱり全ては積み重なって未来は作られて行くのだと思う。